離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「どなたからかわからないんですが、お祝いに送って下さっていた物なんです」
グラスのカットのデザインが一つ一つ違っていて、日替わりで楽しめるところが気に入っている。有沢家の納戸に置いてあった物を持ち帰っていたのだ。
「多分、俺だ」
「え?」
「君に毎日笑顔で使って欲しくて、留学中に贈った物だ。秦野家に届いていると思ったんだが……
良かった、君が使ってくれていて。」
懐かしそうにグラスを見る。
「ほら、Tのイニシャルを彫っているから間違いない」
「これが、あなたからのプレゼント?」
紬希は驚いた。愛用のグラスが磐からの贈り物だったとは信じられなかった。
「君の表情が気になって……すこしでも毎日の暮らしに楽しみを持ってほしかったんだ」
「ありがとうございます」
紬希を笑顔にするために、毎日使える物を選んでくれたという彼の気持ちが何よりも嬉しかった。