きみの瞳に映る空が、永遠に輝きますように
父は私の帰りをリビングで待ってくれていたようで、疲れただろう、と言って飲みかけだったミルクティーを冷蔵庫から出してくれた。
そして、私がソファに座ると、気を利かせてハンディ扇風機を持ってきてくれた。
「私からも話があるから隣に座ってほしい」
そのまま呼び止めると、父は快諾してくれた。
「私、治験を受けることに決めた」
私の決断が思ったよりも早かったことに驚いたのか、一瞬固まった父ではあったが、直後、私の手を強く握った。
温かく大きい父の手は私の手だけではなく心まで温めた。
「わかった」
それだけ言ったと思うと、しばらく私の隣から離れなかった。
私自身も父が隣にいてくれたことで安心したし、父の存在がたまらなく心強かった。
考えたくはなくてもどうしても、治療で辛かった思い出が蘇ってきて、脳内を駆け回る。
前回の治療では意味のない対症療法に苦しめられながらも、良い結果は出ずに終わった。
正直、私は今回が最後の希望だと思う。
発症から2年、着々と病は私の身体を蝕んでいった。
今回の治験がどんな結果を齎すのかで私の運命は決まる。
何もせずに終わりを待つよりも、苦しい治療に耐えてでも長く生きられれば、それこそが正解だと思った。