お館様の番選び
(あかり視点)

町役場の仕事をするようになって生まれてきた赤ちゃんを訪問する仕事が楽しくて仕方がない。

子供の頃から朧を含め弟や妹たちの面倒をみてきたからか小さな子のお世話が出来るこの仕事が大好きだった。

あれから陽様の住む町にわたしたちは定期的に訪れていた。

お館様の力と明叔父さんの治療のおかげで繭さんが正気に戻る時間は少しずつだが長くなってきている。

まだ陽様に会えるような状態ではないが、陽様のお屋敷で過ごす日常を少しずつ受け入れることができるようになっていた。

2歳になった陽人くんは『小さな陽様』みたいだ。

ただただ可愛らしく女の子みたいで、わたしたちのあとをちょこちょことついてくる姿はよだれがでるほど愛らしい。

陽様は…陽様は成人するまであの座敷牢で監視されることとなり、屋敷を訪ねる度にわたしたちが顔を出すと嬉しそうにわたしたちや繭さん親子の近況を聞いていた。

その姿はとで穏やかで…座敷牢から出ることを許される日がくることを皆で心待ちにしていた。

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