お館様の番選び
「朧。…人間って自由でいいなって思うこと…ない?」

ぽろっとそうこぼした時、高校生の朧は制服のブレザーを脱ぎ、ネクタイを緩めている最中の手を止め、一瞬、固まっていた。

襟元からは綺麗な鎖骨がチラッと見え、なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして、目を反らす。

ちっ…朧のくせに色気づきやがって…と心の中で悪態をつきながら視線を朧に戻す。

「何…考えてんの?あかり…。」

形の良い切れ長の目を少し吊り上げ、眉間に皺を寄せた朧。

「そこに座って。」

そう言いながら、朧も床に膝をつき、正座した。…しかも床に…。

朧の部屋は広い洋室で、机とベッドしかないシンプルな部屋だが、ラグもちゃんと敷いているスペースもあるのだ。

だが、朧が今指を指して正座したのは、ラグのない冷たい床の上だった。

次期当主である朧がそこに座った以上、仕方がない。と観念し、わたしも朧の正面に正座した。
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