お館様の番選び
…そこからが長かった。ううっ。

「獣人が完全な獣になったり、完全な人間になるのは、僕たち一族の力があれば、確かに可能だよ。」

「うんうん。…それで?」

期待を込めて次の言葉を待つ。

「……なんでそう思ったの?…まず、理由を聞かせて。」

でも、6つも下でまだ高校生の朧に、わたしの切実な想いをどう説明すればいいかと少し戸惑っていると…

大した理由は無いだろうと思ったのか朧は話をかえた。

「そういえば…灯(とも)ちゃんのとこ五つ子だって…」

灯ちゃんはわたしの妹の1人で成人してすぐ、番の住む別の獣人の町に移り住み、幸せな家庭を築いていた。

灯ちゃんのお相手の番さんはだいぶ歳が離れていた為、灯ちゃんが成人するまでそれは辛抱強く待っていて、その姿は本当に健気だった。

結婚してすぐ子供を授かったと聞いた時は、お相手の番さんもわたしたち家族も大号泣したものだ。

灯ちゃんだけは「大袈裟ねぇ。」って笑ってたけど、すごく幸せそうだった。
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