お館様の番選び
「……もうそろそろ機嫌治して。あかり。」

「…今、運転中だから。」

「……。」

わたしと朧は朧の兄の治める獣人の町に向かって海沿いの国道を車で走っているところだ。

予定より随分遅い出発になってしまいわたしは最高に機嫌が悪かった。

誰のせいだと思ってるんだ。もうっ。

わたしとは反対に朧の気分はいいらしく、珍しく鼻歌を歌いながら、車の窓を開け、外の景色を眺めている。

それもそうだろう。お館様一族の力のひとつである魅了の瞳の力が発現したのだから……朧は次期当主として確実に力をつけてきている。

…それは、わたしとしても朧の側近として非常に喜ばしいことだった。

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