きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
けれどそんな奇跡は起きることなく、宮本くんの新しい座席は、廊下側の列の、前から四番目の席だった。

「まあ、悪くはないけど……」

「そうだね……」

前の鈴ちゃんの座席のように、教卓のど真ん前という座席よりはよっぽど良い。

それでも、離れちゃった。

もう隣の席じゃなくなると思うと、とても大きい寂しさが私を襲った。

「あのさ、話あるんやけど」

あと少しで全員がクジを引き終わるというタイミングで、宮本くんが少し改まった様子で私を見た。

「どうしたの……?」

いつになく真面目な顔をするものだから、私は身構えてしまう。


「この前も言ったけど⋯⋯今月末からウィンターカップの予選が始まるから、部活に集中したいねん」

「うん……」

「だから」

「あ、待って!」

こんな言い方、もう今後の展開が容易に予想出来て、不意に涙が滲みそうになる。

そうだ。だって元々は私たち、別に友達でも、なんでもない。

ただのクラスメイトで、むしろ最初は険悪で。

“隣の席じゃなくても、高橋と話したいと思ってたよ”

あんなの、ただのリップサービスだって、どうして気づけなかったんだろう。

きっとあまりにも彼と過ごす時間が楽しかったから、周りが見えなくなってしまっていたんだ。

彼は元々、“そういう”女の子が嫌いで、この前私がしてしまった質問は、きっと“そういう”女の子がするものだと今更気が付いた。

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