きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「邪魔、しないようにする」

「うん……?」

先手を打たれると思っていなかったのか、彼は私の言葉の意味が理解できなかったらしい。

宮本くんは首をかしげた。

「話しかけないほうが良い……?」

文末にかけて、徐々に声が小さくなる。

「そんなことないよ」って言ってほしい。

自分から言い出したにもかかわらず、彼に否定してほしいだなんて我儘だとわかっているけれど。

宮本くんは私の心内とは反対に、ハハッと笑った。

「違う。俺が言いたかったのは」

彼はスッと私から目を逸らすと、「毎日、一緒に帰ってほしいなと思って」と続けた。

「え、今、何て言った……?」

聞き取れず、いや、聞き取れたかもしれないけれど、まさか、そんな。

私が問い返すと、彼は少し大きな声で、「だから! これから一緒に帰ってほしいなと思っただけ!」とはっきりと言い放った。

「へっ……」

予想外の声に、素っとん狂な声をあげる。

部活に集中することと、私と毎日一緒に帰ること、どう関係があるんだろう。

「それは、どうして……?」

「どうしてって、あかんの?」

宇山のことは毎日待ってたのに、と彼は不満そうに付け加える。

「いや、待つのはいいんだけど、どうしてかなって……」

「だって高橋と一緒にいる時間、楽しいんやもん。楽しい息抜きがある方が部活も頑張れるし」

“私と一緒にいる時間が楽しい”

彼のストレートな言葉が、私の胸に届く。

そんなこと思ってくれていたんだ。嬉しい。嬉しい。とても嬉しい。

「それで? 待っててくれるん?」

思わず笑みがこぼれた私の顔を、宮本くんは覗き込んだ。

「うん、待ってる!」

「ありがとう。高橋のおかげで部活頑張れるわ」

「そんな……私のおかげって……」

頬が熱くなる。

隠すように両手で頬を包んだ私を見て、宮本くんは穏やかな笑みを浮かべた。
< 101 / 146 >

この作品をシェア

pagetop