きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「ほんまに送っていかんくていいの?」

乗り換えのために先に電車を降りる彼に、私は「あたりまえじゃん」と笑顔で頷く。

「むしろ一人で帰らせるの不安やから送って行きたいんやけど……」

「ありがとう、でも気持ちだけで十分だよ。今日は疲れていると思うし、早く家に帰って休んで?」

「……わかった」

渋々、といった感じで、彼は電車を降りる。


「あ、宮本くん!」


やっぱりこれは伝えておこう。

伝えておかないと、後悔する気がした。

電車が発車することを知らせるアナウンスがホームに鳴り響く。
私はそのアナウンスにかき消されないように、叫んだ。


「今日の宮本くん、すごいかっこよかった! 本当にお疲れ様!」


私の言葉に、宮本くんは目をキョトンとさせた。それから少しだけ顔を赤くして、「おう」と応えてくれた。
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