きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「安心して。私、別にあなたのこと好きじゃないし、好きな人だっているから。そもそも、あなたに興味すらないから」

最後の一文は余計だったかな。

まあ、いいや。
私だってボロクソに言われたんだから。

それに“近づくな”と言われた以上、私だって“近づきなくない”と意思表示をしておいた方が、相手にとっても助かるだろう。

何か言いたそうに口をパクパクさせたまま何も発さない彼のことを気に留めることなく、私はその場を離れ、自分の席へ目指して歩く。

正しい行動だった。
正しい行動だったけれどー…。

クルッと身体を回転させ、私は悠斗の席へ向かう。

「ねえ、悠斗」

教室の前で、そして人気者らしい宮本くんとのやりあいのせいで、確実に教室はざわついているのに、全く気にすることなく机に突っ伏して昼寝をしている彼を大きく揺らす。

「起きてってば、悠斗」

「……ん??」

目を半分だけ開けながら、彼は気怠そうに顔をあげた。

「どうしよう、やっちゃったよう」

「……何を?」

「絡んじゃったよ、宮本くんに」

周りの人たちに聞こえないように、小声で告げる。

「……ふうん」

“だからどうした?”と言わんばかりの彼に「どうしよう、殺されちゃうかも」と呟く。

「……殺される?」

悠斗は事の重大さを理解していないようで、呑気にあくびをしている。

もう、あくびなんてしている場合じゃないのに。
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