きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「どうして? 何があったの?」

「高橋、嫌な思いをさせたら申し訳ないんだけど」

佐々木くんは前置きしてから続けた。

「最近、宮本となにかあった?」

「どうして……?」

保健室へ向かう歩みを止める。

「いや……最近宮本の顔色が明らか悪いから、今日聞いたんだよ。『最近なにかあった?』って。そしたら、『夜、寝られない』って言っていて。最近、宮本と高橋が一緒にいるところ見ないから、なにかあったかなって思ったんだ」

佐々木くんはあくまでも事実を述べているんだろうけど、私と宮本くんの間で何かあったことに気づいているような口調だった。

「別に……何もないよ」

本当になにもないのだ。だって。

「私たち、ただの友達だし……何も、ないよ」

「そっか」

佐々木くんはそれ以上詮索することなく、「とりあえず保健室来てよ」と告げた。

「ごめん……私、やっぱりやめておく」

「どうして?」

「だって、別に、会いに行く理由なんて……」

「友達なんでしょ?」

佐々木くんはきっぱりと告げる。

「友達なら、心配じゃないの?」

「でも……」

「待っているからね」とだけ告げると、佐々木くんは私の返事を待たず電話を切る。

その強引な終わり方は、いつもの佐々木くんらしくなかった。


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