きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
佐々木くんが去り、静かな空間に二人だけ取り残される。

さっきまで佐々木くんが座っていたパイプ椅子に腰をかけるて乱れた前髪をそっと整える。

おでこに触れたのに、宮本くんはびくともしなかった。

「宮本くん」

気が付けば、彼の名前を呼んでいた。

すると、彼の目から、涙が零れ落ちた。

「宮本くん……?」

嫌な夢でも見ているのかな。起こしてあげたほうがいいかな。

もう一度呼びかけると、彼はゆっくり目を開いた。

「高橋……」

彼がゆっくりと、私と視線を交わす。

「大丈夫?」

「保健室……?」

「部活中に倒れちゃったみたいだよ」

「そうなんや……」

彼は目を瞑ると、ゆっくりと深呼吸した。

「来てくれたん?」

うん? と聞き直す。

すると、「俺のために、わざわざ保健室まで来てくれたん?」と彼は尋ねた。

「うん、佐々木くんが知らせてくれたの。まだ学校にいたから、様子見に来た」

「心配、してくれたん……?」

「……友達、だから」

「ありがとう」

彼は「嬉しい」と言いながらかすかに笑みを浮かべる。

その笑みは、なぜだか私の胸を締め付けた。

「あ、佐々木くんに、知らせてくるね」

彼の笑顔から逃れるように、私は立ち上がる。

すると、宮本くんは弱々しい声で「待って」と、私の腕を掴んだ。

「行かんといて」

「でも」

「この前、ごめん。傷つけて、ごめん」

何の話をしているかはすぐにわかった。

謝る必要は、全くないのに。
私が勝手に彼に期待して傷ついただけで、彼が謝ることは、何一つないのに。

「……宮本くんが謝ることは何もないでしょ?」

フッと彼に微笑みかける。

すると彼は、強く私の腕を引っ張った。その反動でもう一度パイプ椅子に座ってしまった私の頬に、宮本くんは手を伸ばす。

優しく触れると、「またそんな顔してる」と呟いた。


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