きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「『悠斗は私のヒーローだから』」

「それ……」

「覚えてる?」

覚えている。

”なんで? なんでそんなにも好きなん?”

どうして悠斗のことが好きなのか尋ねられた時の、私の答え。

「俺は宇山じゃないけど、高橋のヒーローになれたら、またあの笑顔、見せてくれるんかなって思った。だから、傍にいたかった。俺が傍にいて……少しでも、辛いことから高橋を守りたかった。俺が傍にいて⋯⋯少しでも、楽しいって思って欲しかった。宇山のことを忘れて、笑ってほしかった。それだけを願っていたのに……結局俺が傍にいたから、傷つけて、そして泣かせてしまったな」

ごめん、と消えそうな声で告げる彼に、私は首を小さく横に振る。

「もういいから……」

「ごめんな……ほんまにごめん」

「本当に、もういいから……」

彼の思いを知ることが出来ただけで十分だった。

「それより……佐々木くんから聞いたよ。最近、寝れてないの?」

夜だからかもしれない。

それにしても、かなり顔色が悪いことは、一目瞭然だった。

宮本くんは私から視線を逸らすと、小声で「うん」と返事をする。

「……どうしたの? 何か気がかりなことでもあるの?」

もしかして、バスケが不調なんだろうか。

聞いてから、踏み込んではいけない話だったかもしれないと後悔した。

「……な……の……辛い」

それはか弱い鳥のような声で。

聞き取れず、もう一度言ってくれる? と促す。

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