きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
私の返事に、「ほんま?」と宮本くんは少しだけ、目を輝かせた。

「また、明日から話しかけてもいい?」

「……いいよ」

「無視したりせえへん?」

「……うん」

「連絡も返してくれる?」

「……うん」

「ありがとう」

心底安心したように笑う彼を見て、複雑な気分になった。


「そういえば今週末の土曜日、試合あるねん。見に来てくれへん……?」

彼は試合の時間と場所を告げると、様子を探るように、私を見た。

「ごめん。次の土曜日は、ダメなんだ……」

宮本くんは私の答えに、眉間にしわを寄せながら、目で「どうして」と訴えた。

「悠斗の試合、応援に行くって約束しちゃっていて……」

「宇山の応援、か……」

素直に頷く。

悠斗が所属するサッカー部も、今全国大会をかけた予選に挑んでいる最中だった。

悠斗はこの予選になって初めてベンチ入りを果たした。

先発出場する可能性は低いけれど、試合に出る可能性は十分ある。

悠斗の応援にかけつけようと、悠斗のお母さんと約束したのはちょうど昨晩だった。


「……なあ、宇山と付き合ってんの?」

「悠斗と? 付き合ってないよ」

「……それなら、俺のこと優先してくれへん?」

「……ごめんね。悠斗のお母さんとも約束しちゃったから」

「でも……俺、待ってる。高橋なら来てくれるって、信じて待ってる」

「宮本くん、今度の土曜日は本当に」

「高橋が好きなシュート、いっぱい見せてあげるから」

彼は私に続きの言葉を言わせてくれなかった。
< 138 / 146 >

この作品をシェア

pagetop