きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「なあ、見せてや」

「だから嫌だって。それに私、数学苦手だから、合っているかわかんないし」

「別にいいよ、とりあえず『やったこと』が大切やから」

「嫌だよ」

そもそもどうして、自分のことを“気持ち悪い”だの“ストーカー”だの言ってくる人を、助けなくちゃいけないんだ。

「ふうん、そんなこと言っていいんやな」

「……なに?」

意味深な言い方が気になって、彼の目を捉える。

「俺、お前の好きな人、知ってるで」

「好きな人?」

「え、」

「このクラスやろ」

予想外の言葉に、言葉がつっかえる。

狼狽えた私が面白かったのか、宮本くんは挑発するように、頬杖をつきながら口元に笑みを浮かべ、私を見た。

「やっぱり。アタリやん」

どうして知っているのだろう。
今まで“仲良いね”は数えきれないほど言われてきたけれど、自分の気持ちがバレてしまったことはなかったのに。

いや、もしかしたら、ハッタリかも。
宮本くん、私のこと、何も知らないだろうし。

「まだアタリともハズレとも言っていないんだけど」

精一杯落ち着いた声で返したのに、

「ちなみに部活は、サッカー部」

私の言葉には反応せず、宮本くんは続けた。

「周囲は“幼馴染”と思われているけれど、ほんまは」

「あ、わかったわかった、ストップ」

朝礼中だ。

教室の色々なところで話声が生まれているとしても、周囲の人には聞こえてしまう可能性がある。

「宮本くん」

精一杯優しく微笑み、穏やかな声を出す。

「朝礼が終わったら、話したいことがあるんだけど」

私の申し出に、宮本くんはニヤニヤ笑いながら「了解」と答えた。


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