きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「あれ、宮本と高橋?」

軽口を叩きながら校門を出ようとした時、背後から私たちを呼ぶ声が聞こえ、同時に振り向く。

「佐々木くん」「佐々木」

佐々木くんは私たちの姿を見て、目を白黒させた。

「なんだ。宮本、『大切な用事があるから先に帰る』って、高橋との約束だったの?」

「あ、おい」

「え、でも急いで着替えて」

「違うわ!」

宮本くんは佐々木くんの言葉に被せて、大声で否定した。

「え、違うの? なんだ、てっきり2人でいるから、高橋との用事かと思ったのに」

「いや、だから、それは……」

宮本くんはバツが悪そうに私を見る。

あれ? 宮本くんのこの表情。

もしかして本当に“大切な用事”と周りに伝えて、そして急いで来てくれたのかな。

「へえ、大切な用事」

“大切な”を強調して尋ねると、宮本くんは少しだけ嫌そうな顔をしてから、開き直るように「当たり前やろ」と胸をはった。

「人の命を救うんやから、大切な用事やろ」

「いや、だから、まだ死ぬほどはこの状況に絶望していないって」

「“まだ”!? “まだ”ってことは、これから“死にたい”って思うかもしれへんってこと!?」

「違うよ! 揚げ足、とならいでよ」

「……二人、仲良くなったなあ」

言い合いをしていると、佐々木くんがのんびりとした口調で笑う。

「前は、不思議なぐらい仲悪かったのになあ」

「前……」

「そんなことあったっけ?」

佐々木くんも交えて3人で話したことなんて、あっただろうか。

宮本くんと二人で首を傾げていると、佐々木くんが「ええ!?」と驚く。

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