きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
最寄駅について人が疎らにいるホームへ降りる。改札を出たと同時に、ポケットに入れたスマートフォンが震えた。

「もしもし? 佐々木?」

「うん。今、良い? まだ高橋と一緒?」

「いや、もう別れたけど」

「そうなんだ。それならよかった」

佐々木の声を聞きながら、家までの道を歩く。

何気なく空を見上げると、真っ黒の空の中で北極星だけが輝いている。

高橋と一緒にいた公園では、もっとたくさんの星が見えたのにな。あの公園の近くよりも家から漏れる電気が多いからかな。


「明日の部活だけどさ、集合時間、一時間遅くなったんだって。コーチの都合で」

一応明日のことだから電話で伝えておいた方が良いかなと思って、と付け加えた佐々木に、「了解」と答える。

「それで? 今日は高橋と何をしていたわけ?」

佐々木はこっちが本題だったのか、さっきよりもずっと声がワクワクしていた。

「別に」

「別に、って。高橋が宇山以外の男子と帰ること滅多にないよ?」

「へえ」

そうなんや。

あれ、そもそも高橋って。

「なあ、高橋って、今まで付き合った人とかおるん?」

「なに、やっぱり高橋のこと気になってんじゃん」

「違うわ。ただ興味本位で聞いてみただけや」

「ふうん」

佐々木が俺の言葉を全く信用していないことは十分伝わってきたけれど、それでも一応は教えてくれた。

「俺、高橋とは中学二年と三年の時に同じクラスだったから結構仲良かったけど、誰かと付き合ったとかそんな話は聞いたことなかったかなあ」

「……そっか」

いつから宇山のこと、好きなんやったんやろう。

もしかして俺が想像しているよりもずっと前から、宇山のこと、一途に思っていたんかな。
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