きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「まさか、あの宮本くんと休日にカフェに行くような仲になるとはねえ……」

鈴ちゃんは両腕を机に置き、上半身をグッと私の方へ寄せると、「ねえ」と意味深な笑みを浮かべる。

「宮本くん、真凛のこと、好きなんじゃない?」

「あー、それはないよ」

きっぱりと否定する。

「私が、宮本くんのことを好きにならないから誘いやすいんじゃないかなあ。宮本くん、実は好意もたれたり騒がれるの、あんまり好きじゃないんだって。私にはよくわからないけど」

それに、と付け加える。

「私に『彼氏が出来るといいな』って応援していたし」

「ふうん。じゃあ、真凛は?」

「え?」

「宮本くんのこと、何も思わないの?」

「私は……」

ふと彼の言葉が蘇る。


”だって、隣の席やん。困った時はお互い様やろ?”


もし2学期、席替えをして席が隣じゃなくなってしまったら?
もう彼とくだらないことを話したり、どこかに出かけたりすることは、ないのだろうか。

そんなの。

「隣の席のままがいいなって思うよ」

私の答えに、鈴ちゃんの頭の上にはハテナマークが浮かんだ。


だって、もし隣の席じゃなくなったら、もう今みたいに気軽に話せないんでしょ?

それならこのままが良い。隣の席のままが良い。

だって、宮本くんと話せない日々はきっとつまらないし、寂しいと思うから。
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