きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
お誘いは突然だった。

夏休み初日の夜、家族と一緒にテレビを見ていると、スマートフォンに着信が入ったのだ。

誰だろう。明後日遊ぶ友達かな。

自分の部屋に戻りながら発信者を確認すると、“宮本光希”と表示されていたから、思わずスマートフォンを落としそうになるほどびっくりした。

「どうしたの?」

もしもし、も言わず電話に出ると、彼も挨拶もせずにいきなり「明日の夕方空いてる?」と尋ねてきたのだった。

「明日? うん、空いているけど」

「それなら決まり。パフェ、食べに行くで」

それだけ言うと電話が切れ、その後【最寄り駅まで迎えに行くから】とメッセージが来ていた。


「それで? 本当にパフェを食べて終わり?」

「え? そうだよ? ほかにすることはないもん」

鈴ちゃんの質問の意図がわからず、私は頷く。


宮本くんが「食べたいから」と連れて行ってくれたのは、季節のフルーツを存分に使っているパフェだった。

季節のフルーツを使っているだけあり、どうもそのパフェは期間限定らしい。期間限定と知り、余計に食べたい気持ちが大きくなったけれど、一つがかなり大きい。

一方で、バスケ部のみんなに「パフェ食べたい」とは言うのは少し恥ずかしい。

「お前、甘いもの好きやろ。一つ頼んで分けようや」

だから私を呼び出したらしい。


「桃のパフェだったんだけどね、美味しかったな~」

宮本くんのリクエストで行ったのに、あまりのおいしさに結局私がほとんど食べてしまった。

勢いよくパフェを口に運ぶ私に「お前、どんだけ甘いもん好きやねん」と呆れるように見ていた彼の顔を思い出し、思わず私は思い出し笑いをしてしまった。

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