きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「……別れたの?」

「おう」

「……どうして?」

「『サッカーばっかりで、一緒にいても楽しくない』って言われた」

「……なるほど」

妙に納得してしまう。

きっとフラれた理由は、彼女の本心だと思うから。

やっと彼に特別な人がいる現実を受け止められたのに、受け止められた時にはそれが事実ではなくなってしまうとは、なんと皮肉なことなんだろう。

少し複雑な気分になりながらも、用事は無し、悠斗に彼女も無し、となると、自主練を見に行かない理由は無くて、私は来た道を悠斗と一緒に並んで歩く。

悠斗の隣に立つのはたった一ヶ月弱ぶりなのに、ひどく懐かしさを覚えた。

「最近全然話しかけてこないと思ったら、あいつのこと気にしてたのか?」

「うん、まあそうだね」

あいつとは彼女のことだろう。

結局最後の最後まで、悠斗が誰と付き合っていたのか知らなかった。

「知ろうとしなかった」が正しいのかもしれない。

唯一知っているのは、同じ学校に通う、一歳年上の先輩だということだけだった。

それも、鈴ちゃんの席でお喋りしていた時に、たまたまサッカー部に所属しているクラスメイトが悠斗に「お前の彼女、二年の中でもかなり美人らしいじゃん」と囃しているのを聞いて知っただけだった。

「別に、気にしなくてよかったのに」

「悠斗が良くなくても、彼女はきっと嫌がったと思うよ」

「……女ってよくわかんねーな」

ポツリと呟いた悠斗に、ふふっと笑う。

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