先生との恋・番外編集・
それは、誰かが亡くなったということだと分かったのは3回目の入院くらいだったか。
「そうですか…」
心電図のアラームやナースコールの音楽がナースステーションから聞こえてくるのは日常茶飯事。
だけど、今日はひときわすごかった。
「患者さんが亡くなるのはよくあることだけど、やっぱり家族さんの声はきついね」
ぽつり、昼間見た光景を思い出しながら、高橋ではなく手元のペットボトルを見ながら呟いた。
あたしも、部屋を出なきゃよかったと思った。
バタバタしてるのが少しして、落ち着いたのかな、とトイレに行こうと部屋を出たのが悪かった。
トイレが終わって部屋へ戻る途中に見えた、人だかり。
家族さんの泣き叫ぶ声。
あ、この部屋の人だったんだ、と思った。
そして、思い出した。
私と同じくらいの、私と同じ病気の子だった。
あたしが歩き回ってる時に看護師さんとその子が喋ってて、紹介してくれた、その時に一瞬話しただけだったけど。
一緒に頑張って治して、外を走り回ろうね、と。