先生との恋・番外編集・
「…静かになってよかったですね」
何か少しでも前向きなことを、と思ったのだけれど。ぎゅっと、掛け布団を掴んだその手は強くて。
「……くやしい」
ぽつり。小さく聞こえてきた言葉。
紡いだ言葉の後に、引き結んだ唇。
これが、彼女の本音だろう。来た時も言ってたな。
というか、毎回言ってるな。病院に運ばれる=自分に、病気に負けたと思っているのだろう。
それに対する悔しさ。
だけど、今出た悔しいは、そういう意味ではない。
彼女が抗いながら、
自分の命を削りながら欲しくて欲しくて、それでも手に入れられなくてたまらないものを手放そうとして、そして元に帰っていく。