お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活、彼の愛は予想外でした~
私は一人でラグジュアリーなバスルームの浴槽に浸かり、一人でホテルライクを楽しんだ。
お風呂から上がると仕事をすると執務室に居たはずの瓜生さんがリビングルームのソファに座っていた。


「随分の長風呂だったな。与奈」

ローテーブルに置かれたワインボトルとオードブル。

「瓜生さんは仕事は?」

「このルームサービスは宇佐美社長の差し入れだ」

「へぇー…さすがは宇佐美社長、サービスが行き届いていますね」

「どうだ?一杯飲むか?」
瓜生さんは冷え冷えのワインボドルを手にした。

「じゃ一杯」

彼がワインオープナーでコルクの栓を抜く。
小粋な音を立てワインの芳醇な香りがボトルから漂った。

二人でカチンとグラスで乾杯して、お風呂上りに飲むビールのようにワインを口にした。

「あ…私の好みの味だ。フルーティ」

「与奈は甘い味のワインがいいんだな。俺はどちらかと言うと辛口のワインが好みだ」

瓜生さんの口には合わないよう。

それでも、宇佐美社長からの差し入れ、彼は義理でグラスのワインは飲み干した。
「後は与奈が飲むといい」

「えっ?あ、でも、私は…」

彼は私の言葉を訊かずに執務室へと行ってしまった。

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