お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活、彼の愛は予想外でした~
十七年振りの帰省
週末。日帰りの予定で瓜生さんの故郷・群馬県沼田市に車で向かった。
群馬県北部に位置する河岸段丘の街で真田幸村の所縁の街として有名な地。
「父と会うのは十七年振りだ」
「えっ?そうなんですか?」

「父は俺の大学進学を快く思ってなかった。俺に畑を継いでほしかったからな」

瓜生さんが畑を耕す姿か全く想像つかなかった。

「誰が畑なんて継ぐかよ!!と大喧嘩してそれっきりだ。何でもかんでも自分の思い通りいかなければ、怒ってさ…」

「でも、瓜生さんは設楽弁護士の養子になり、完全に久保家を捨てたんですよね」
「まぁな」

「久保家の本家じゃないし。別にいいんだよ。お前は俺の隣に座っていればいい。俺が全部処理する」

「だけど、瓜生さんを育ててくれた実の父親ですよ」

「俺と葵は母に育てられた。父は子供の事よりも畑のキャベツや大根の方が大切だったから」

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