溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
 下もショーツむき出しのままじゃなくて、何と左裾(ひだりすそ)に、ヌスーピーの飼い主少年チャーキー・ブラウニのワンポイント入りのハーフパンツまで穿()いちゃってるんですよ、今の私!
 ちょっとその先のゴミステーションへのゴミ出し程度なら、このまま行けてしまいます!(ブラをすればっ)
 すごくないですか⁉︎

 ……などと、同年代の女の子たちが聞いたなら『ん? 当たり前のことじゃない?』と口を(そろ)えて言いそうなことを、自信の(かて)にした日和美(ひなみ)だ。

(だから大丈夫っ)

 日和美は重たい掛け布団をガバリとはぐって起き上がると、シーリングライトの引き(ひも)を素早く三回引っ張って、豆球の薄赤い仄かな明かりを灯した。

 そうして一旦動きを止めると、呼吸も控えめにして再度隣の部屋の音に聞き耳を立てる。

(……やっぱり静か)

 今ガチャガチャ自分が動き回ったことで、衣擦(きぬず)れの音などがしてきたらそのまま待機しようと思っていたけれど、やっぱり隣室は静まり返ったまま。

(王子、今助けます!)

 日和美の中では、すでに不破が布団に押しつぶされて苦しんでいる構図が出来上がってしまっている。

 グッと拳を握って決意を固めると、日和美はリビングとの境目の(ふすま)引手(ひきて)にグッと手を掛けた。
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