溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
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不破(ふわ)さん、朝食はパンとご飯どっちがお好きですか?」

 何となくビジュアル的にはパンなイメージの不破だけれど、丸一日一緒にいてみて分かったことがある。

(多分不破さんは……)

「どちらでも大丈夫なんですが、何となくご飯がしっくりくる気がします」

(やっぱり)

 不破の答えを聞くなり心の中でそう思ってしまった日和美(ひなみ)だ。

 不破は案外日本的なものを好む傾向がある。

 昨日だってランチに焼き魚定食を選んでいたし、夕飯に肉じゃがを出したら喜んでくれた。

 日和美は祖母の教えで休みの日におかずを作っておいて、冷凍庫に常備菜としてストックするようにしている。

 父子家庭で殆ど祖父母に育てられた日和美にとって、それは一人暮らしを始めてからも変わらない習慣で。

「じゃあ、ひじきの煮物とほうれんそうのお浸し、それからお味噌汁としょうが焼きを用意しますね」

 冷凍庫の中から、小分けにしたひじきの煮物を二回分の量取り出して電子レンジに入れながらリビングの不破を振り返った日和美は、目を真ん丸にして動きを止めた。

 不破が、リビングを占拠していた布団を畳んでいるところだったからだ。

(うわっ。……めっちゃ違和感っ)

 と思うものの、それが逆に不破らしいとも思えて。
 日和美が昨日不破に買ったスウェット上下のラフな感じも、違和感に拍車を掛けている。
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