溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
 そう言えば実演販売士のおじさんが、『最近少しレアかも⁉︎な天然コットン百パーセントのお布団です!』と謳っていたっけ。

 前に父方の祖母が、「木綿の布団は丈夫で保温力も吸湿性もええ上に打ち直しがきくけん最高なんじゃけど……ちぃーとばかり重いのが難点なんよねぇ」と言っていたのを思い出した日和美(ひなみ)だ。

 祖父母宅へお泊まりに行くと、布団の上げ下げに苦労したのを思い出す。

「そうそう。正にこの感じ……」

 恐る恐るスマートフォンで「木綿」を検索したら「コットン」と書かれていて思わず「ヒッ」と声が出た。

(コットン=木綿だなんて、知りませんでした、すみません!)

「おばあちゃんの言った通り、木綿のお布団重いよぅ!」

 とはいえ、掛け布団はともかく、敷布団は一度敷いてしまえばそう滅多に動かすものではない。

「何せ我が家は二部屋(ふたへや)もあるものぉ〜♪」

 一人暮らしの日和美は、一室をリビングに、一室を寝室にしている。
 そちら側の部屋は、布団と大好きな本がみっちり詰まった本棚がずらりと並んでいるだけだ。
 一人暮らしだし、祖父母宅と違って、寝起きのたびに押し入れに布団を出し入れなくてもいいだろうからきっと何とかなる!

 万年床(まんねんどこ)バンザイ!
< 9 / 271 >

この作品をシェア

pagetop