それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「ねえ、マジでうざい」

「はいはい」

先生は私の反抗を、サラッと受け流した。

「けどさ、読んだなら、なにかしら返事書いてくれても良いんじゃないの?」

一方的にメッセージ書くの、寂しいんだけど、と先生が付け加える。

「そっちが勝手に始めたことなんだから、私になにか求めないでよ」

「勝手に、って! 俺だって暇じゃないんだぞ?」

「いいなあ、沙帆。先生、私のノートにもコメント書いてよ」

美羽が口をとがらせる。

「横尾は、吉川より数学の成績良いから、俺のアドバイスなんていらないだろ」

「だから、そもそもアドバイスとか書いてもらったことないんですけど」

「お前なあ……」

先生はもう一度、コツンと私の頭を叩いた。

「俺、一応、生徒から人気なんだぞ? 俺からコメントもらえるの、ちょっとは有難く思え」

「沙帆、本当だよ、先生の言う通りだよ。私だってほしいのにさあ」

「横尾、お前、ちゃんとわかってるじゃん。ほら、吉川、横尾を見習ってもっと俺の存在を有難く思え」

「ああ、もう、うるさいな」

私は投げやりになって答えた。

「明日から、【はい】とか【いいえ】とかコメント書けばいいんでしょ!!」

「そう、その通り」

ギロッと睨んだ私に、先生はにやりと笑い返した。

明日のノートの一言、決めた。

【毎日うるさい】にしよう。


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