それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「親としては、もう英語の勉強は良いから、他の教科を頑張ってほしいんですよね。姉を見習ってほしい、と言いますか」

「担任という立場からも、お母さんのご意見はごもっともだと思います」

やっぱり……思った通りだ。
どれだけ頑張っても、褒めてもらえるのなんて一瞬で、結局はお姉ちゃんと比べられて……。
どうしてお母さんも中野先生も……お姉ちゃんとばっかり比べるんだろう。
どうしてお母さんはいつも、こうやって私に自信を無くさせるような言い方をするんだろう。

嫌だ。比べられることが、本当に嫌だ。
私は私で、お姉ちゃんはお姉ちゃんで……私とお姉ちゃんは、別の人間なのに。


中間試験も、期末試験も、私の中では、高校に入学してから一番頑張った。

頑張ったけれどー…お母さんも、中野先生も、納得させる結果を、私は残せなかったのか。
頑張ったけれどー…そもそも、2人は、「頑張った」ことすら、認めてくれないのか。

もちろん、お母さんや中野先生のために、勉強をしているわけじゃない。

自分のために勉強をしているんだけど……それでもやっぱり、頑張っても、周りの人に認めてすらもらえないのはー…

ああ、もうやっぱり、全てにおいて、

不意に涙が零れ落ちそうになった時、まるで私の思考を遮るかのように、耳に、声が、届いた。


「吉川さん、頑張っていますよ」


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