夜桜
「遅れてすみません、 藤堂さん。」

木刀を持ち、藤堂さんが素振りをしている庭に足を踏み入れた。

「構わんぞ。 今朝は土方さんに絞られていたな。」

「はい、もう大変でした。外で寝落ちるなんて、私ったらなんてはしたないことを・・」

「役目や稽古の疲れが溜まっているのだろう?目が赤いぞ。」

私は目をこすった。

「今日から張り込みの準備に行くので、体力は温存しておきたいところです。ですが最近仕事のことで疲れてしまいまして。」

藤堂さんと私は素振りを始めた。

「張り込みの任務は、誠守のような頭の切れる人物には適任だろう。それに昨日の格好。どこからどう見ても女だった。これなら奴らも騙されるだろう。」
「このお役目を成功すれば、新選組の手柄は確実です。 不逞浪士に近づき、奴らのたくらみを暴いて見せます。」

「それは頼もしい。いい結果を待っているぞ。」
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