あやかし戦記 永遠の終わり
人が妖に変えられている、それを知った時からイヅナは妖と対峙するたびに考えていた。この妖は元々は人で、これから自分が行うことは殺人なのではないかと。

「……人を妖に変える、それに理由はない。君だって、今も息をするのに理由なんて考えてないだろう?それと同じだ」

「あなたの研究のせいで、ツヤさんや多くの人が苦しみ、命まで奪われた人たちがいます!その人たちに対して、何も思わないですか!?」

声を荒げるイヅナに対し、「君はうるさい女だね」とミツヒデは嫌そうな顔を向ける。そしてアサギの絵の方に顔を向け、その絵を優しく撫でた。

「女は大人しいほどが可愛げがあっていい。アサギはいい女だった。こんないい女にはもう二度と巡り会えない。……だからこそ、アサギが死んだ時に心を殺したんだ。アサギのいない世界など、死後の世界も同じなのだからな」

「……大切な人を失う、それはとても苦しくて悲しいことです。その気持ちはわかります。でも、だからと言って他人や家族を傷付けていい理由にはなりません!」
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