甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「お前の全部を俺のものにしたい」


掠れた声が耳に響いた途端、彼の唇が私の唇に重なった。

突然の出来事に頭の中が真っ白になって、なにも判断できなくなる。

唇に残る柔らかな感触にぼんやりと思考が動き出す。

慌てて彼の胸を押すと、あっさりと離れた。


「なんで、キスなんて……!」


混乱し、キツイ口調になる。


「俺の本気を伝えるためと相性を知るためだ」


自身の唇の端をぺろりと舐めながら、彼がしれっと言い返す。


「お前が気に入った。絶対に逃がさないし必ず手に入れるから――覚悟しろよ?」


物騒な発言に息を呑む。

まさか元恋人の結婚報告を聞いた日にプロポーズされるなんて思わなかった。

どうして律儀にこの人との約束を守ってしまったのか、融通の利かない自身の性格がつくづく嫌になる。


***

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