黒猫とばぁちゃん【短編】
僕が目を覚ますと、そこはもう寒い庭ではありませんでした。

あったか~い部屋の中。
僕は、ふかふかの座布団の上でふわふわの毛布にくるまっていました。

寝ぼけまなこのまま辺りを見回すと、少し離れた場所で、こたつに入ってお茶を飲みながらテレビを見ているばぁちゃんがいました。

ばぁちゃんは、僕が起きたのに気付くと、ニコニコしながらこたつから離れ部屋を出ると、しばらくしてまた戻ってきました。

そして、そ~っと僕に近付いてきて、そ~っと僕の目の前にミルクを置いて、僕には見向きもせずまたこたつに戻って行きました。

僕はビクビクしながら、ばぁちゃんの姿を目でおっていましたが、ミルクの甘~い香りに誘われ、ソ~ッと一歩二歩お皿に近づいていきました。
そして、もう一度ばぁちゃんがテレビに夢中になっているのを確認すると、勢いよくミルクを飲み干しました。


そのミルクの美味しかったこと。



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