黒猫とばぁちゃん【短編】
僕がズーッと隠れていたので、お客さんは諦めて帰っていきました。

ばぁちゃんは、お客さんにず~っと謝っていたけれど、僕は悪いことなんてしてないよ。



「クロや、お前、わかるのかぃ?何で逃げて出てこなくなっちまうのかねぇ…。お前を大事にしてくれそうな人、ばあちゃん一生懸命探してきたのになぁ…。」


ゴロゴロ。
ゴロゴロ。

ばぁちゃんの膝の上で、僕の喉が自然に鳴る。

ここが僕の居場所だから。

「そぉか、そぉか、クロ。気持ちいいかぃ?ばあちゃんも、こうしてお前を抱っこしてる時が一番幸せだぁ。」

ばぁちゃんは、僕の背中を優しくなでていてくれました。

「でも、ばあちゃんな、どうやらもう長くないみたいなんだよ。お前といつまで過ごせるかわからないから、ず~っと面倒見てもらえる良い人に引き取ってもらった方が、お前にとって幸せだと思ったんだけどなぁ…。」


ニャ~。
ここにいたいよ。

「そぉかい、そぉかい?いいのかい?ばぁちゃんと一緒にいてくれるのかい?クロ、ばあちゃんのワガママ聞いてくれるかい?ばあちゃんも本当は、お前と離れたくなんかないんだよ。」


ゴロゴロ。
ゴロゴロ。

僕の喉が勢い良く鳴っている。

「ありがとなぁ…クロや。」




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