本気の恋を、教えてやるよ。



ウンウン頷きながら拝み出す佐川くん。私、美人じゃないんだけど佐川くんはお世辞が上手い。


「あの、梓ちゃんは……」

「妻夫木さんなら、さっき楽斗と話してたよ?」

「えっ……」


こ、駒澤くんとかあ……。


駒澤くんとはあれ以来、会うのが初めてだからどんな顔をしたらいいのか分からない。


……別に、梓ちゃんと話すのは後でもいっか。


合宿所に向かうバスは自由席だ。

荷物を先に乗せてからバスに乗り込むと、後ろの方に梓ちゃんを見つけた。


「梓ちゃん……!」

「茉莉おはよー」


梓ちゃんはヒラヒラと手を振ると、不意にいたずらっ子のような笑みを浮かべる。


そして、隣に座り込んだ私にコソッと耳打ちしてきた。


「私の隣なんかでいいの?茉莉」

「え?」


その言葉に、きょとんとする私。


梓ちゃんの隣じゃなかったらどこに座れと……。なんで急に意地悪なことを……。



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