本気の恋を、教えてやるよ。



「稲葉は──誰か、待ってんの?」


やけに真っ直ぐな瞳で見つめられ、目を逸らすことも叶わず言葉に詰まった。


「あ……う、うん。け、慶太のことを……」

「……稲葉はさ。筒井と、より戻したの?」


ふ、と笑う息を零しながらそう言った駒澤くん。


だけど、俯いていてその表情はよく分からなかった。


「より戻した……というか、その、そもそも別れてないから……」


駆け足になりかけてた心臓が、今度はズキズキと鈍く痛む。


ああ。どうしよう。なんでこんなに気まずいんだろう。


──いや、本当は分かってる。


駒澤くんからの好意をしっかりと自覚してるくせに、曖昧にさせたまま、ずるずるとここまで来てしまったから。


こんなの、駒澤くんに失礼だ。


「あの、ね……!私……」

「言っとくけど」


思い切って勢いよく顔を上げたと同時に、遮るように被せられた駒澤くんの低い声。



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