本気の恋を、教えてやるよ。



「俺、稲葉のこと諦めないから。隙さえあれば、攻めるよ。だから覚悟しといて」


……ねえ、それなら、なんで。

なんでそんな、辛そうな顔するの……?


わかってる。


駒澤くんにこんな顔させてるのは、他でもない私自身だってこと。


ごめんね。

私の弱さが、優柔不断さが、駒澤くんを傷付けてる。


「駒澤くん……」

「……なんでアンタがそんな、泣きそうな顔するの」


最後に困ったような微笑みを見せた駒澤くんは、「じゃあ俺、行くから」とそのまま会社の中に入って行ってしまって。


どうしよう、こんなんじゃ、ダメなのに。


だけど私、怖いんだ。

駒澤くんのことをキッパリと断って、駒澤くんのことを傷付けて──彼に、嫌われるのが。


本当に、自分の都合の良さに辟易とする。


こんなことをしていたら、それこそ、駒澤くんにも慶太にも呆れられるに違いないのに。



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