本気の恋を、教えてやるよ。
「──茉莉?」
唇を噛み締めて泣きそうなのを堪えていると、私を呼ぶ声がして。
ハッとして顔をあげれば、慶太が覗き込むようにして隣に立っていた。
「慶太……」
「どうかした?泣きそうな顔してるけど……」
「う、ううん!何でもない。用事、大丈夫だった?」
「うん。待たせてごめん。帰ろう」
前なら、待たせてごめんなんてセリフ、絶対に彼の口からは出てこなかった。
やっぱり最近の慶太は優しい。
そう思いながら、私は自然と差し出された手に、自分の手のひらを重ねるのだった。
「──クリスマス?」
「うん。予定空いてる?」
二人で少し寄り道しながら帰っていると、慶太がそんなことを言い出した。
……そういえばもうそんな時期か、と、街中のイルミネーションを眺めながら思う。
「空いてるよ!」
「じゃ、仕事終わりにデートしよう」
「うん!」