本気の恋を、教えてやるよ。



満足気な私に、くつくつと喉を鳴らしながら笑う慶太。


……確かに、周りがキャーキャー怖がってる中、私だけアクション映画観てる子供みたいな反応だったかもしれないけど。


そんなに笑うことないのに、とむくれれば、ごめんごめんとあやす様に頭を撫でられる。


……それだけであっさり許しちゃう私は、我ながら単純だ。


それから私たちは、映画館を出て、普段より煌びやかな街を歩きながら次の目的地へと向かった。


勿論、慶太の浮気のことも、駒澤くんのことにも、触れずに。


きっとお互い、無意識のうちに避けていたんだろう。


──そして。


「ここって……」


到着したのは、高層ビルのワンフロアに居を構える有名なレストラン。


曇りひとつないガラスから見下ろせる夜景は絶景で、食事も美味しいと評判の、予約しないと絶対に入れないレストランだ。


窓際の席に案内されながら、緊張して思わずキョロキョロとしてしまう。



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