本気の恋を、教えてやるよ。
ふとした時に、触れた先から崩れてしまいそうな儚い笑顔を見せる慶太に、なんだか胸がザワついて仕方ない。
──食事も景色も、噂の通りどれもすごく良かった。だけど、何だか釈然としないまま、あまり集中できなくて。
……さっきから、慶太の口数が減っている気がするのも、きっと気の所為では無いだろうし。
だけど、考えても考えても分からない。
慶太が何を思っているのかなんて──。
「茉莉」
「あっ、なに?」
食事を終え、レストランを出たところで名前を呼ばれ慌てて笑顔で応える。
さっきまでは気にならなかった夜風が、凍てつくような寒さで肌に突き刺さる。
「……昔さ、よく公園行ったの覚えてる?」
「うん、裏道の所のでしょ?」
会社から割と近いところにあるこじんまりとした公園は、私と慶太のお気に入りだった。
たまに、二人でお弁当持ち寄ってピクニック気分で食べたりしたなあ……。