本気の恋を、教えてやるよ。



だけどこうやってできる限り一緒に居てくれようとしてくれて、そうやって二人の時間を取ろうとしてくれる駒澤くんの優しさが、嬉しくて。


好きだなあ。


「今日も終わったら会社出たとこで待ち合わせな」

「うん、連絡するね」


そう約束し、四人でお昼を楽しむ。


楽しい時間はあっという間で、エントランスのところで二人と別れ、梓ちゃんと執務室に戻る道中、ふと真剣な顔をした梓ちゃんが口を開いた。


「茉莉、もうあんまり筒井と関わっちゃダメだからね。同じ委員会ってだけでも心配なのに……」


会議室では端と端に座りなさい!と息巻く梓ちゃんに苦笑する。


「……関われるわけ、無いよ」


どこの世界に振られた昔の恋人と親しくする女が居るの。


きっともう、名前を呼ぶことも無い。


──そう、思ったのに。


「では、社内活動推進係は筒井さんと稲葉さんの二人で決定します」



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