本気の恋を、教えてやるよ。
そりゃ、反対の人なんかいないでしょう……と思いつつ、何も言えずちらりと慶太を見る。
さすがに慶太が嫌がるよね、と少しの期待を込めて視線を送ったのだが、慶太は委員長に向かってにこりとよそ行きのほほ笑みを浮かべると、
「はい。いいですよ」
……って、え?
「筒井さんもこう言ってくれてることだし、稲葉さん」
慶太の言葉に呆気に取られている間に、委員長から有無を言わせないような声が降りかかる。
慶太はこちらを見ていなかった。
でも、他の人達にじっと見つめられ、私はもう「……はい」と答える他無かった。
「もー、なんで断らなかったの!」
翌日、お昼時間に梓ちゃんに報告すると、呆れたように梓ちゃんがそう言った。
「だって、断れる雰囲気じゃなかったし……」