本気の恋を、教えてやるよ。




慶太と同じ委員会どころか、さらに密接な関わりが必要になるであろう係まで同じになってしまった私に、「茉莉の馬鹿」と梓ちゃんは盛大な暴言を吐いてきた。


「駒澤になんて言われても知らないからね」


どうせまだ言ってないんだろうけど、とサラッと指摘された言葉が図星で詰まる。


そう。まだ、駒澤くんに詳しいことは言えてない。


……なんだか、慶太の事を話題に出すのは気が引けてしまって。


お昼を食べ終わり、社内に戻ると廊下の向こう側から三人の女の子が駆け寄ってきた。


よく見ると、それは同期の女の子たちで。


「あ、稲葉さ〜ん!」と声を掛けられ、梓ちゃんと二人足を止める。


「さっき、佐藤部長から伝言預かっちゃって」

「伝言?」

「うん、稲葉さん社内報編集委員なんだよね?来週の火曜日に急遽集まりがあるから来てくれって」


メールすればいいのになんで私に言うのかね、と唇を尖らせるその子に苦笑する。



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