本気の恋を、教えてやるよ。



「前は女の子にだらしなかったからあれだったけど、今じゃぱったりと無くなったもんね〜」

「……え?」

「あれ、知らない?有名な話だよー。慶太君、前は来る者拒まず去る者追わずって感じだったけど、今は女の子に誘われても断ってるんだって」

「そうそう!それに前は途中から近寄り難い雰囲気醸し出してたけど、最近はよく笑うし、女の子じゃなくて男の子と居ることも増えたよね!」


──それは、まるで。


まるで、出会ったばかりの頃の慶太そのもので。


どうして、なんて疑問が頭を過ぎる。


なんで今更?私と別れてから?……私の存在が、そんなに慶太を歪めてたの?


きっとそれなら、別れたのは正しかったんだろうけど。


彼女たちの言う慶太の様子に、どうしようもない懐かしさが生まれてしまう。


いつから私たちの関係はあんなに荒んでしまったんだろうと、私は目を伏せた。



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