本気の恋を、教えてやるよ。
同期の奴ら誘って、既にある福利厚生を利用したイベントをどっかの土曜日にでもやろう。そう、パソコンのキーボードを叩きながら淀みなく提案してきた慶太に、色んな意味で驚き唖然としてしまう。
すんなり快諾して残ってくれたのもそうだし、まさかそこまでもう考えてくれたなんて、という驚きもあって。
「……稲葉?」
「えっ、あ、う、うん……ありがとう」
何も言えずに目を見開くことしか出来なかった私を怪訝そうに呼ぶ慶太。
なんの躊躇いもなく呼ばれた苗字が、最後のクリスマスを思い出させた。
……私もちゃんと、筒井くんって呼ばなきゃ。
避けられるのは悲しいと思ってたけど、いざ話し掛けられたら戸惑うなんて。
私の意気地無し。
「……筒井くんの計画、凄くいいと思う!今ある福利厚生だと……テーマパークのチケットとかあったよね?」
「そうだな。その辺りが無難な気がする」