本気の恋を、教えてやるよ。
以前は、そんな姿も気を許してくれてるのかな?と嬉しかったが、今ではただただ悲しくなるだけだ。私とのデートなんて、どうとも思ってないんだろうなって、わかってしまって。
「おはよ……寝てた?ごめんね」
「まあ。……入れよ」
素っ気なく言われ、中に足を踏み入れる。
でも、今日はデートをしに来たわけじゃない。
中々靴を脱ごうとしない私に、リビングに向かおうとしていた慶太が気付き、怪訝そうに私を見る。
慶太は玄関先まで引き返してくると、少し首を傾げた。
「何やってんの?早く上がれよ」
そう言って、私の腕を掴む慶太。
慶太はそのまま目を閉じると、私へと顔を寄せてきて──。
私は咄嗟に、慶太の口元を自分の手で覆っていた。
「は?」
不機嫌そうに洩らした慶太の表情があまりにも冷たく、苛立っていて、背筋が冷える。
慶太からのキスを拒んだのはこれが初めてで、尋常じゃないくらい心臓がドキドキと嫌な動悸を奏でていた。