本気の恋を、教えてやるよ。
慶太は、私の腕を掴んでいない方の手で、慶太の口を覆っている私の掌を掴むと、そのまま乱暴に引き剥がし、私を睨む。
「……何、この手。なに拒んでんの?」
地を這うような低い声。
だけどここで怯んではダメだ。そう思って、私は慶太を真っ直ぐ見つめ返した。
「……今日は、慶太に話があってきたの」
「……話?」
片眉をはね上げ、こちらをじっと射抜く慶太に、心を落ち着かせるように一つ息を吸う。
そして。
「慶太、別れよう」
案外簡単に、するりとその言葉は吐き出せた。
慶太の目が大きく見開かれ、私はさらに言葉を重ねようと口を開いた。でも。
それよりも早く、後頭部を引き寄せられ、噛み付くようなキスで言葉を奪われてしまう。
「んぅ……っ!?」
びっくりして、慶太の胸を押す。
だけど、後頭部に回された手にも、相変わらず掴まれたままの腕にも更に力を込められて、痛みに思わず力を弛めてしまう。