角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。




つばきちゃんは、ちゃんと聞いた方がいいよって言ってくれたけど、聞くことができなくて。

結局あれから先輩に真実を聞けないまま時間だけが過ぎて行った。


「今日の日直は、ノートを数学準備室まで運んでくれー」


数学の授業が終わったあと、教科の先生が言った。


「うわ、最悪。今日の日直私だし!」

「つばきちゃん、手伝おうか?」

「えっ、いいの? ……女神!」


ひとりでいたら先輩のこと考えちゃって、落ち込んでしまう。それならつばきちゃんと一緒にいる方が心もうんと楽になれる。


二人で半分こしながら廊下を歩いた。


「瑠衣さぁ、結局あれから聞けないまま?」

「うん、そうだね」

「ほんとにそれでいいの?」

「……うん。だって怖くて聞けないから」


私の意気地無し。弱虫が嫌になる。


「怖いってどうして?」


つばきちゃんに尋ねられて、困った。
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