角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「どうって……」


答えることができそうになかった私は、言葉に詰まらせて目を逸らすように中庭へ移動させる。


すると、その視線の先には。


「あれって……」


先輩が女の子と一緒に中庭のテラスにいた。


その様子は仲睦まじく。


「うそ……平野先輩が女の子と一緒にいる」


やっぱりあの噂は、ほんとなんだ。


「先輩……彼女がいたんだね」


すごく可愛い女の子。

私なんかよりも、先輩の隣がすごく似合っている。


先輩も笑って、女の子も笑って。

楽しそうなのが伝わってくる。


私たちのことなんて全然気づかずに、先輩たちは二人きりの世界にいるみたい。


少し前に先輩への思いが恋として“好き”だと気づいたけど。

もう気づいたときには、遅かった。
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