角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「それって楠木さんのことだったんだよね。春斗先輩に名前聞いたら教えてくれたから」
紗倉さんに話してたんだ、先輩……。
ということは、私が非常階段で先輩と会っていることを紗倉さんは知ってたってこと。
「で、手っ取り早く聞くけど……楠木さんは春斗先輩のこと好きだったりする?」
どうしよう……。
聞かれちゃった。なんて答えたら……
「えっと、あの……」
でも、この場をやり切るには嘘をつく方がいいよね。
だけど……それだと先輩に対する思いまで否定することになっちゃう。
紗倉さんが彼女なのに……でも私……
「……先輩のことが好きです」
やっぱり嘘をつくことができなかった。
どうしても否定することができなかった。
「ごめん、なさい。紗倉さんに嫌な思いさせて……でも私……っ」
どうしても嘘をつくことができなかった。
ごめんなさい、と頭を下げる。